アール・ブリュットについて

アール・ブリュットというのは、「生の芸術」という意味で、『既成の美術のシステムに加工されない驚くべき美術とその創り手』(芸術新潮2005年11月号)なのだそうです。多くは精神を病んでいたり霊感の強い人が、絵を描く衝動に取り憑かれて絵を描いたものが多く、以前「素朴派展」で初めて見た時は、ちょっと異様な感じがしたものだ。(しかし、素朴派はそういう効果を意図して描いたものでアール・ブリュットとは違うらしく、たぶん比較するために展示してあったのだと思う。)そういう描き手たちの多くは正規の美術教育を受けていないことから、技術的に見たら稚拙で小学生の絵と大差ないのだが、異様に細かく書き込んでいたり一つの対象にこだわっていたりするために、見るものを不安にさせるほどの迫力がある。(清掃員として働きながら老人になって孤独死するまで、7人の少女戦士ヴィヴィアンガールズと大人たちとの闘いを文章と絵で書き続けたヘンリー・ダーガーが有名だが、たとえば、ある人は自分が世界の気象を動かしていると信じて、毎日窓辺で天気図を描き続けたというのだ!)技術が素晴らしくて「うまいなあ」と感心する絵は、意外に心を素通りしてしまって後に残らなかったりする。綺麗で趣味がよくていい気持ちにさせてくれる絵は、安住させてくれるがどこか人をスポイルしてしまうところがある。アール・ブリュットの絵には原始人の描いた洞窟画のような、プリミティブな衝動が感じられて、何かやる気にさせてくれる。



そう、子供の絵のような型にはまらない無邪気さとのめり込んで熱中している感じがあるのだ。職業として絵を描く人のような制約もなく、ただ描きたいから描いたという熱狂的なエネルギーを感じる。アール・ブリュットの絵には無気味さと共にどこか笑ってしまうような無邪気さがある。そこが魅力なのだ。





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